
株式投資を始めたころの自分は、「これから株価が上がりそうな会社」を探していました。
割安な成長株を買い、株価が上がったら売却する。
そして、また次の銘柄を探す。
買ったときと売ったときの価格差で利益を出す、いわゆるキャピタルゲインを狙った投資です。
実際、この方法で利益が出たこともありました。
そのため、しばらくは「自分にはこの投資方法が合っている」と思っていたのです。
しかし、ある銘柄への投資をきっかけに考え方が大きく変わりました。
それがフジクラでした。
毎日の株価が気になって仕事に集中できなくなった
フジクラのように値動きの大きな株を持っていると、毎日の株価が気になります。
昨日大きく上がったと思ったら、今日は急落する。
朝の気配値を確認して、仕事中にも株価を確認する。
「まだ上がるのか?」
「そろそろ売ったほうがいいのか?」
「この下落は一時的なのか?」
そんなことを考えているうちに、気がつけば仕事にも集中できなくなっていました。
さらに問題だったのが、調べるための時間です。
決算を確認して、ニュースを読んで、今後の業績を予想する。
それでも株価が、自分の予想した方向へ動いてくれるとは限りません。
ここで一つの当たり前のことに気がつきました。
会社の業績が良ければ、必ず株価が上がるわけではない。
株価には現在の業績だけでなく、「この会社はもっと成長するだろう」という将来への期待も織り込まれています。
反対に、赤字を発表した企業の株価が上昇することだってあります。
明日キオクシアがストップ高になるかもしれない。
反対に、好決算を発表した会社が大きく売られるかもしれない。
もちろん理由を後から分析することはできます。
しかし、明日の株価を自分でコントロールすることはできません。
これは、自分にとって「影響の輪」の外側にあるものでした。
予想できないものを予想し続けるのは、自分にとってギャンブルだった

そこで疑問を持つようになりました。
「自分は投資をしているのか。それとも株価を当てるゲームをしているのか?」
もちろん、成長株への投資や株価分析そのものがギャンブルという意味ではありません。
分析能力に優れ、企業の成長性を見極めて大きなリターンを得ている投資家もいます。
ただ、自分にはそれを再現し続ける自信がありませんでした。
未来の株価を予想するために大量の時間を使い、その結果によって気持ちまで上下する。
それなら、自分にとってはギャンブルとあまり変わらないのではないか。
そう考えて、投資方針を変えることにしました。
「値上がりする株」から「持ち続けたい株」へ
それまで保有していた成長株や割安株の一部を売却し、商社や通信などの企業へ資金を移していきました。
※一部損切りもしました・・・。
考え方も変えました。
「これから株価が上がる会社はどこか?」
ではなく、
「これから長期間持ち続けたい会社はどこか?」
を考えるようになったのです。
配当を出していること。
できれば長期間にわたって増配していること。
事業が簡単にはなくならないと思えること。
そして、自分自身が「この会社なら長く株主でいたい」と思えること。
こうした条件を重視するようになりました。
すると、不思議なくらい気持ちが楽になりました。
日本を代表する企業の株が「剣や鎧」のように感じた

もちろん、高配当株だから株価が下がらないわけではありません。
普通に下落します。
ただ、以前とは下落したときの感覚が変わりました。
成長株を持っていたころは、
「まずい。もっと下がるかもしれない」
と考えていました。
ところが長期間持ちたい企業の場合、
「業績が致命的に悪くなったわけではない。それなら、もう少し買い増してもいいか」
と考えられるようになりました。
日本を代表する企業の株を少しずつ保有していく感覚は、自分にとって、これからの時代を生きていくための剣や鎧を少しずつ身につけていくような安心感があります。
派手さはありません。
短期間で株価が2倍になるような期待も、それほどしていません。
その代わり、企業が利益を出し、その一部を配当として受け取り、増配されれば翌年以降に受け取れる金額も増えていく。
自分には、こちらのほうが合っていました。地味ですがww
不思議なことに、投資に使う時間を減らしたほうが成績も良くなった
さらに面白かったのが、投資にかける時間を減らしたにもかかわらず、以前より成績が安定するようになったことです。
毎日株価を追いかける必要がない。
短期的な値動きを予想する必要もない。
仕事中に株価を確認する回数も減りました。
つまり、
投資のために使っていた時間と精神力を減らしたのに、結果はむしろ良くなった。
ここでようやく、
「自分にとっての株式投資の最適解は、こっちだったのかもしれない」
と思えるようになりました。
NISAはさらにシンプルに「これだけを買う」と決めた

個別株とは別に、NISAについてはさらにシンプルにしています。
自分は楽天証券でNISA口座を開設し、つみたて投資枠では「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」を積み立てています。
最初から大きな金額を積み立てたわけではありません。
まずは少額から始めました。
そこから生活費や固定費を見直し、「これなら無理なく続けられる」と思える範囲で少しずつ積立額を増やしています。
また、賞与などで余裕資金ができたときには、成長投資枠を使って「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」をスポット購入しています。
ここで自分が決めているのは、
NISAでは余計なことをしないこと。
です。
次はどの投資信託が上がるのか。
米国株がいいのか。
新興国がいいのか。
テーマ型ファンドがいいのか。
毎回考えていたら、それだけで時間を使ってしまいます。
そのため、自分の場合はS&P500を中心に「基本的にこれを買う」と決めました。
もちろん、S&P500が唯一の正解というわけではありません。
より広く世界へ分散したいのであれば「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などを選ぶ考え方もあります。
重要なのは、自分が理解できない商品を次々と買うのではなく、自分なりのルールを決めて継続することだと思っています。
現在は「NISA」と「個別株」の役割を分けている
現在の自分の投資方法は、大きく分けると非常にシンプルです。
NISAではS&P500に連動するインデックスファンドを中心に積み立てる。
余裕資金ができたら、成長投資枠でもS&P500をスポット購入する。
そして個別株については、高配当株や連続増配株を中心に保有する。
つまり、
NISAでは市場全体の成長を取りにいき、個別株では配当を生み続ける企業を持つ。
という形です。
これが現在の自分にとって、一番続けやすい投資方法になっています。
40代の自分が求めていたのは「最大リターン」ではなかった

振り返ってみると、自分は投資で一番大きな利益を出せる方法を探していたのかもしれません。
でも、40代になった今、本当に欲しいものは少し違います。
仕事をしながら続けられること。
毎日の株価に精神を振り回されないこと。
生活を犠牲にしないこと。
そして、10年、20年と続けられること。
最大のリターンを狙う投資方法と、自分にとって最適な投資方法は同じとは限りません。
自分の場合、それに気づくまで実際に株を買って、売って、値動きに振り回される経験が必要でした。
その経験を経て現在は、
「次に上がる株を当てる投資」ではなく、「長く持ち続けられる資産を増やす投資」
を選んでいます。
これが今のところ、自分がたどり着いた株式投資の最適解です。
※本記事は筆者個人の投資経験・考え方を紹介するものであり、特定の金融商品・銘柄への投資を推奨するものではありません。投資には元本割れなどのリスクがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。