社会構造と生存戦略

高市政権になっても、40代の給料は上がらない──減税の幻想と日本企業の“内部保留構造”

こんにちは、ふぉあぐらです。
今日はすこし尖った記事を出してみます。

自民党の新総裁に高市早苗氏が選ばれ、次期内閣総理大臣としての期待が高まっています。
「減税」や「中間層の再生」など、耳に心地よい政策が掲げられ、ニュースやSNSでは「これで少しは生活が楽になるかもしれない」という空気も広がりつつあります。

しかし──。
現場にいる私たち、特に40代の働く世代が実感として抱くのは、

「誰が総理になっても、結局は給料は変わらない」
という冷めた現実ではないでしょうか。

政治が変わっても、企業が即座に動くとは限らない。
むしろ、企業は「政策が変わること」そのものに慎重になります。
その理由を、少し冷静に見ていきましょう。


1. 減税が決まっても「企業は内部保留を増やす」構造的理由

仮に新政権が積極的な減税政策を打ち出したとしても、
企業がすぐに「給与アップ」で応えるとは限りません。

なぜなら、経営側から見れば減税は一時的な追い風に過ぎないからです。

企業はこう考えます。

「今は減税でも、数年後には社会保険料の引き上げや新たな財源負担が来るかもしれない」

そして、物価高や人件費高騰も止まらない時代。

つまり、減税が長期的に続く保証がない限り、
企業はその分を“将来の備え”として内部に蓄えようとします。

この「内部保留(内部留保)」こそ、日本経済の停滞の象徴ともいえる構造です。
2025年現在、日本企業の内部留保は 500兆円超
それだけのキャッシュを持ちながらも、賃金への還元率は過去最低レベルにとどまっています。

理由はシンプルです。
企業にとっていちばん怖いのは“政策の揺り戻し”だからです。


2. 「減税」と「賃上げ」の間には“時間差”がある

政治家が「減税」を掲げた瞬間、メディアでは“景気回復”の言葉が躍ります。
しかし、実際に賃金が上がるまでには**1〜2年のラグ(遅れ)**があるのが現実です。

なぜなら、企業の意思決定はこう動くからです👇

  1. 減税方針が発表される
  2. 実際に法案化され、翌年度に施行される
  3. 企業が税効果を確認する
  4. 翌年度の予算編成で初めて人件費を検討

つまり、減税効果が「現場の給与」に波及するのは早くても2年後。
その間に政権が変わったり、物価がさらに上がれば、
せっかくの減税分もあっという間に“帳消し”になります。


3. トリクルダウンは起きない──企業も生き残りに必死

高市政権が誕生しても、経済構造そのものはすぐには変わりません。
企業がいま最優先しているのは「社員の幸福」ではなく「会社の生存」です。

  • エネルギーコストの上昇
  • 人手不足による採用競争
  • 円安による輸入価格の高騰
  • 海外からの株主プレッシャー

この4つの波が同時に押し寄せている中で、
企業は“リスクを取ってまで賃上げ”をする余裕がないのです。

むしろ、現場ではこんな声が出ています。

「賃上げしても、物価上昇で実質マイナスになる」
「評価制度を変えるより、まずは倒れないことが優先」

つまり、トリクルダウン(富の滴り落ち)を期待しても、
上から下まで落ちてくる前に、企業が防御に回ってしまう構造です。


4. 「40代の給料が上がらない」現実的な背景

40代は、会社の中では“中核層”です。
現場のリーダーとして、若手を支え、上司の指示を受けて実務を回す。
いわば「会社を動かす層」でありながら、最も昇給が鈍い層でもあります。

理由は明確です👇

要因内容
昇進の頭打ち管理職ポストが埋まっている
成果評価の限界成果主義が形骸化している
コスト圧力40代以降は社会保険料も高く、人件費負担が大きい

企業からすれば、

「40代を大幅に上げる=全体の給与テーブルを動かす」
という大改革になります。

だからこそ、企業は「昇給ではなくボーナス調整」で対応する。
これが、ここ数年続いている“名ばかりの賃上げ”の正体です。


5. 経営側の心理:「一度上げたら戻せない」

日本では、解雇規制が強く、固定費削減が難しい。
だから企業は「一時的な補助金」や「税優遇」があっても、
それを恒常的な昇給原資に使いたがりません。

「一度上げたら、景気が悪くなっても下げられない」

この経営心理がある限り、賃上げは慎重にならざるを得ません。
だからこそ、企業は“人件費”ではなく“配当”を選ぶ。
現場で汗を流す人よりも、株主に報いる方が「短期的に安全」だからです。


6. 結論:政治より「構造」を読む力を持つこと

たとえ政権が変わっても、構造が変わらなければ結果は同じです。
高市政権が誕生しても、減税政策があっても、
企業が賃上げに踏み切れない“構造的ブレーキ”は残ったままです。

  • 内部留保を手放さない企業
  • トリクルダウンが起きにくい仕組み
  • 一度上げたら戻せない制度リスク

つまり、**日本の賃金停滞は「トップの問題」ではなく「体質の問題」**です。


7. これからの働き方に必要な視点

政治や会社任せではなく、
「自分で自分の給与構造を設計する」ことが今後ますます重要になります。

  • 副業・発信・投資など、自分の“成果=収入”に直結する軸を持つ
  • 賃上げを待つのではなく、複数の収入源で“自分経済”を作る
  • 政治ニュースを“投資判断の材料”として読む

そうすれば、「トップが誰になっても、自分の生活は変わらない」状態に近づけます。
それが、これからの時代の本当の“安定”なのかもしれません。


まとめ

減税は一時的な追い風。企業は内部保留で備える。
✅ トリクルダウンは期待できない。企業も生存優先。
✅ 40代の給与が上がらないのは「構造の問題」であり、「努力不足」ではない。
✅ 政治の変化に期待するより、自分の経済を設計する力を持とう。


🪶 最後に

高市政権が実現すれば、日本の方向性が変わる可能性はあります。
しかし、現場の給与に反映されるには“時間と構造の壁”があります。
期待よりも、「仕組みを読む目」を持つこと。
これが、今の時代を生き抜くための最も現実的な防御策だと感じます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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