会社脱出計画

黒字リストラは効率の罠。余白を失った会社の未来

こんにちは、ふぉあぐらです。

今日はSNSやyotube動画でみつけた「働かないオジサン」をテーマとして
黒字リストラの盲点について、個人の見解を話してみます。

何かの参考になれば、幸いです。

働かないおじさん=本当に無駄?

「働かないおじさん」という言葉が、ここ数年よく使われています。
ただ、私はこの表現に強い違和感があります。
なぜなら“本当に何もしていない”のではなく、目に見えにくい働きや余白の部分を評価できていないからです。

確かに、目に見える成果やスピード感だけで判断すると「この人、何してるの?」と思える場面はあるでしょう。
しかし、その人がいることでチームの雰囲気が和らいだり、緊急対応のときに一歩引いて冷静にサポートできたりすることもあります。

私自身、今の仕事(システム保守や開発プロジェクト)をしていると、常に100%で走り続けることは現実的に不可能だと実感しています。
むしろ「余裕がないとミスが増える」し、「先が見えていないと精神的に追い詰められる」。
だからこそ、目に見えない“遊び”や“余白”が存在することは決して無駄ではなく、組織の安定性を支える重要な要素だと考えています。


効率を追い求めすぎる社会の疲弊

現代社会は「効率」「生産性」「成果主義」を極端に重視しています。
もちろん効率化は重要ですが、効率を追い求めすぎると逆に非効率になる場面が多いのです。

例えるなら新幹線。
平均で3分30秒間隔で運行しているみたいですが・・・
理論上可能だからとさらに間隔を詰めたらどうでしょうか。
トラブル発生時のリカバリが難しくなり、少しの遅延が大規模な混乱を招きます。
つまり「机上の空論としての効率化」は、安全性や持続性を軽視してしまうのです。

これは企業や働き方にも当てはまります。
無駄を徹底的に排除し、遊びを許さない組織は、一見すると精密で強そうに見えます。
しかし、遊びのないギリギリ設計は、ひとたび不測の事態が起これば簡単に破綻するのです。


潤滑油・余白の大切さ

どんなに精密な機械でも、潤滑油がなければ摩耗して壊れます。
人間の働き方も同じです。

  • 緊急の仕事が入ればフルスロットルで取り組む
  • 案件の見通しが立てば出力を抑えて進める
  • やるべきことを終えたら、あえて少しサボって心の余裕を作る

このように緩急をつけることが、長く働き続けるためには必要です。

私自身も、サボり方については明確に考えています。
「納期を守らない」「お客様に迷惑をかける」ことは本当のサボりであり、決して許されません。
しかし逆に「やるべきことを終えてからの休憩」や「先の作業が見えている状態での小休止」は、自分の心に遊びを作る行為だと思っています。
その余白があるからこそ、長期的に安定してパフォーマンスを発揮できるのです。


黒字リストラは効率主義の最たる例

ここで「黒字リストラ」の話に移りましょう。
本来、リストラとは赤字や業績悪化のときに行うもの。
ところが近年は、会社が黒字でも「さらなる効率化」「株主への利益還元」を理由に人を切るケースが増えています。

これはまさに効率至上主義の象徴です。
一見するとスリムで優秀な組織に見えるかもしれませんが、実際には「余白を削ぎ落としているだけ」。
短期的には人件費が減り、利益は出るでしょう。
しかし長期的には摩擦が増え、組織全体の柔軟性が失われます。


日本的な意味では悪手になる理由

日本社会において黒字リストラが悪手となる理由は、以下の通りです。

  1. 文化的背景
    日本は「終身雇用」「チームワーク」「暗黙知の継承」で支えられてきた社会。
    ベテラン社員が持つ余白や潤滑油的な役割を切り捨てると、組織の土台が崩れる。
  2. 社員の信頼感の喪失
    「黒字でも切られる」という事実は、残った社員に「次は自分かも」という不安を植え付ける。
    その結果、会社への忠誠心は低下し、モチベーションも落ちる。
  3. 人材育成の悪循環
    本来ベテランが担っていた“遊びを生む役割”や“余白を調整する役割”を、若手や中堅が担わざるを得なくなる。
    → 業務量が増え、効率が悪化。
    → 若手が疲弊して離職。
    → 結果として業績も悪化。

つまり黒字リストラは、短期的な効率化と引き換えに、中長期的な持続可能性を失う危険な戦略なのです。


黒字リストラによる社会的な影響

さらに視野を広げると、この動きは社会全体にも影響します。

  • 世代間格差の拡大
     ベテラン世代を切り捨てると、残った若手が本来担う必要のない役割まで押し付けられる。
     「ツケは若手に回る」構造が生まれる。
  • 若手の意識変化
     「黒字でもリストラされるなら会社に未来はない」と感じ、会社依存から離脱する人が増える。
     副業や転職、独立を模索する若手が急増。
  • 株主と経営の対立激化
     短期的な利益を求める株主と、疲弊する現場社員との間で溝が深まる。
     結果として企業全体が揺らぐ。

つまり黒字リストラは「効率化」という名のもとに、社会の持続性そのものを脅かす要因にもなっているのです。


まとめ:効率だけではなく余白も設計する社会へ

効率は確かに大事です。
しかし、効率を求めすぎると摩耗を早め、持続可能性を失います。

  • 働かないおじさん=本当に無駄なのか?
  • 効率を追い求めすぎる社会は、人も企業も疲弊させる
  • 潤滑油や余白は“見えない生産性”を生む
  • 黒字リストラは効率至上主義の象徴であり、日本的には悪手
  • 結局ツケは若手や社会全体が負担する

私自身も「緊急時は全力、普段は出力を抑える」「やるべきことを終えてからサボる」という緩急がなければ、この仕事を続けられません。
つまり、効率と余白のバランスこそが本当の意味での効率なのだと思います。

これからの社会に求められるのは、「無駄を削ぐこと」ではなく、「余白を設計すること」。
効率の罠に囚われない視点が、未来の持続性を決めるのです。

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